2018年6月9日土曜日

音楽の影響を考察と分析。脳はマルチタスクが苦手


今回は音楽の影響についてまとめてみました。
「音楽の影響」で調べても、意味のある検索結果が出づらいのもあり、マルチタスク(音楽を聴きながら作業含む)の調査結果もまとめます。


『会話を聞く神経回路と音楽を聴く神経回路は異なる』
、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームによると、人間の脳の中には従来明らかになっていた「話し声」を処理するものとは別に、音楽に特化した神経経路が備わっていることを明らかにしています。
人間の脳にある聴覚野では、話し声と音楽を処理するエリアが分かれており、それぞれ相反する入力に対しては無反応の動きを見せています。しかし、歌詞のある歌が耳に入った時には、それらの領域が重なり合うように処理を始めます。


『仕事中に音楽を聞くことがクリエイティビティ(創造性)に支障をきたす』
イギリスのウェールズ大学で発表された調査結果です。
音楽にはさまざまなジャンルがあり、メロディやリズムの種類も豊富で、そこに英語や日本語などの歌詞が入っている曲もあります。それらの情報が脳に入ってくることは、右脳の情報伝達プロセスに余計な情報が入ることを意味します。つまり、「考える」という行為の中に、音楽の余計な情報が入ってしまい、考える行為の邪魔になってしまう。
考えることをあまり必要としない作業やルーティンワークに対する効果は期待できそうです。音楽を聞くことで集中力を高めて、良いリズムを生み出しプラスに働く。

『脳は3つの同時作業ができない』
マルチタスクの研究結果です。
以前は「ポズナーのマルチタスク曲線=作業Aに集中すると作業Bは44%の効率を得られる」という説が信じられていたようですが、現在の科学者達は否定しています。
AとBを同時に作業しても合計100%にならないと言われています。

『脳は同時作業ができると、多くの人が思い込んでいます。
実際には、瞬時に意識を切り替えているだけです。
脳は、同時作業をしていません』
マルチタスクが得意だと錯覚している人は、あくまで脳の切り替えが上手な人達です。
例を挙げると、「アクションゲーム(マリオ)をプレイするとマルチタスク能力を鍛えられる」と判明しています。

電話をしながらメールを打つ行為を例に挙げます。

聴覚で相手の言葉を理解しながら、視覚と手の感覚でメールを打ちます。
この2つの作業は、脳が瞬時に切り替えをしながら行われます。

この切り替えのせいで、生産性が40%下がることもあります。
アメリカ心理学会の報告です。

『普段からマルチタスクをしている人は、マルチタスクが上手くできない』
ユタ州立大学の研究報告です。
マルチタスクが得意と思っている人ほど、マルチタスクが上手くできない傾向にある。

『運転中の危険なマルチタスク』
アメリカの雑誌「交通心理学と行動」によると、クモが苦手なドライバーに「クモの話をする」ことで、運転能力が大きく低下。

『食事中のマルチタスクは、味覚を鈍らせる』
古来から、人間は危険なものを食べないよう「味に集中するように」できています。
「アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション」に掲載された研究報告です。
食事中のマルチタスクは、味覚を鈍らせることが報告されています。
認知の負荷が、過食(食べすぎ)を誘います。

『マルチタスクは創造性を低下させる』
マルチタスクは、ワーキングメモリを圧迫します。
ワーキングメモリを消費することで、創造性も弱くなります。

2012年の研究報告では、マルチタスクが問題解決能力のパフォーマンスを下げる可能性が報告されました。

『音楽を聴く事は受身である。
音楽を聴く事というのは言うなれば「受動」の姿勢である』
こちらはエビデンスには乏しいのですが、バンドマン育成サイトの講師がズバリ言いきっていました。
エビデンスを調べた後だと興味深いので記述しました。


……ここからは私の見解をまとめます。

一点だけエピソードを交えますが、音楽を聴きながら作業をする行為は昔から好きでした。
「音楽」は記憶とも密接な関係を持っているように思え、当時の感情に浸りながら文章を書くには打ってつけのような気がしました。

ただ、トータル的な統計で見ると、あまり効率が良くないようにも思えていました。
集中するためにどの音楽を聴こうとするか迷って時間をつぶすこともありました。
ここ数年は、たまーに音楽を聴きながら作業する程度で、無音や街の喧騒をBGMにした方が脳は疲れにくいなと確信しています。

現在の見解ですが、薬の文言によく使われる「用法と用量(容量)を守る」という言い方がピッタリな気がします。
音楽とくくっても様々です。
川のせせらぎだってBGMだし、ヘヴィメタのような重低音に金属音、電子音に個性的な声を混ぜたものに、更に激しい歌詞をのせる。
一つの個体で見た場合、情報量の塊に大きな差があります。


体験談ですが、私はメタリカが結構好きなのですが、実際に作業をしながらメタリカを聴いていても、時間の経過とともに全く気にならなくなります。
脳が情報量の多さに麻痺していると分析すれば、妥当な状態に思えます。

社会全体がマルチタスクを強いるようにしているのは感じていましたが、音楽の存在は盲点でした。
今回の調査結果では割愛していますが、音楽には良い効果も沢山あります。

だからこそ、「受動的な」人間を作るべく、音楽がひっそりと私達の周りに影響を与えているんだと思います。

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